高性能組込みコンピューティング製品のリーディングサプライヤであるcongatec(コンガテック)は、来る10月28日(水)~30日(金)に幕張メッセで開催される展示会「Japan IT Week 秋」に出展し、COM-HPC®をはじめとした新製品と組込みコンピューティングの今後10年に向けたテクノロジーを紹介します(ブース#39-18)。また、最新プラットフォームの機能強化、新しいシステムや最先端の組込みコンピューティング規格に基づいた最新のデモおよび実際のお客さまソリューションも展示します。会期中、コンガテックのブースでは、新たな標準規格の革新的なモジュールと、刻々と変化し続ける産業界においても長期的な継続性を持つ主要な組込みモジュールの両方をご覧いただけます。コンガテックは、組込みコンピュータ技術を簡素化し、OEM向けにデザインイン・サービスを拡充し続けており、会場ではボードやモジュールの域をはるかに超えた包括的な製品やサービスをご覧いただけます。
今回、コンガテックは最新のCOM-HPC製品やテクノロジーのほかに、Intel Atom®プロセッサの新たなポートフォリオや、Intel®認証済みのワークロード統合キット、100ワットの熱設計電力(TDP)のためのAMDエコシステム、Basler社によるビジョンAIのデモ、さらに、株式会社HACARUS、 富士ソフト株式会社、 レシップ株式会社より、実際にコンガテック製品をご活用いただいているアプリケーションを紹介します。
コンガテックの新しい日本担当カントリーマネージャー 奥村康弘は、2030年までの主なトレンドについて次のように予測しています。
「今後10年の間に、COM-HPCが有力なハイエンドのコンピュータ・オン・モジュール(COM)の標準となり、ワークロードはリアルタイム機能を備えた高性能な仮想マシンのエッジシステムに高度に統合されるでしょう。ビジョンベースのインテリジェンスが標準的な機能として主要プロセッサの多くに組み込まれ、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)、複合現実(MR)のニーズに対応するとともに、自律型協調ロボットは産業用コンピュータ業界全体に匹敵する規模に達するでしょう」
「今回のコンガテックのブースでは、こうした長期的なトレンドや傾向を見据えながら、開発者の皆さまがあらゆる先進領域を取り込み、将来の革新にも対応できる製品やサービスをすぐに市場投入できるよう、高性能組込みコンピューティング製品の世界的リーダーとして提供する多彩なソリューションを実際にお見せします」
■コンガテックブース(#39-18)出展内容ハイライト■
新たなCOM-HPC規格
今回の目玉のひとつは、COM-HPCの仕様に関するプレゼンテーションです。COM-HPCは、近くPICMG®に策定され、最も成功した高性能組込みコンピューティング・モジュール規格であるCOM Expressの後継として位置づけられています。COM Express規格は今後10年、有力な規格としてその地位を維持すると予想されており、これから数年間は、既存の組込み設計ですでに確立されたこの規格が引き続き採用されるため、数字の落ち込みはごく穏やかにとどまる一方で、COM-HPCは急速に市場シェアを拡大していくことが予想されます。組込みコンピューティング規格を利用するOEMメーカーにとっては、新たな規格によって画期的なエッジを提供すると同時に、変化し続ける世界をけん引する仕様の継続性を確保でき、双方の長所を活かせるメリットがあります。今後数年以内に発表されるCOM Expressベースのモジュールは、少なくとも10年、自律走行車の動向によってはさらに長期にわたり利用できる可能性もあります。
第 11 世代Intel® Core™ プロセッサ搭載プラットフォーム
新規格COM-HPCの仕様に従って開発された初の製品が第 11 世代Intel® Core™ プロセッサ搭載モデルであり、コンガテックはCOM-HPC クライアント Size Aモジュールに加えて次世代COM Express Compactモジュールでも提供を開始しています。これにより開発者は、既存システムのパフォーマンスをさらに拡張、高度化することも、COM-HPCの幅広いインタフェースを用いて次世代製品を開発することもできるようになります。第11世代Intel Coreプロセッサをベースとするこの新しいモジュールは、ハイエンドのコンピューティング分野に、通信機能の強化や大幅なパフォーマンスの向上をもたらすものです。最適な適用分野として、組込みシステム、エッジコンピューティング、フォグコンピューティング、ネットワークハブ、コアネットワークのノードやアプライアンスなどのほか、政府機関の重要なアプリケーション用に高い耐久性をもった中央クラウドデータセンターに至るまで、多くのハイエンドなソリューションが挙げられます。新しいモジュールの詳細およびフォームファクタの選択についての設計ガイドについては、https://congatec.com/en/technologies/intel-tiger-lake-modules/をご覧ください。
AMD EPYC™組込み型3000シリーズ搭載のサーバ・モジュール
COM-HPC製品は、今後発表するCOM-HPCサーバ・モジュールによって、全ラインナップが利用できるようになります。新規格の仕様によるCOM-HPCサーバ・モジュールの提供開始まで待ちたくない開発者や、パワー全体が必要ない開発者は、COM Express Type 7規格に沿って構築されたエコシステムと、conga-B7E3をベースにしたAMD EPYC 組込み型 3000シリーズなどのコンピュータ・オン・モジュールを活用でき、圧倒的なエッジコンピューティングパワーによって100ワットの熱設計電力(TDP)を持つマルチコアシステムまで拡張可能です。しかし、フルパワーを活用するには、堅牢で高性能な冷却ソリューションが必要になります。今回、ブースでは、コンガテックの100ワット・エコシステムのプレゼンテーションも取り上げ、この中で完全にカスタマイズされた冷却システムを紹介しています。これらの冷却システムの詳細については、https://www.congatec.com/en/technologies/com-express/com-express-type-7/amd-epyc-embedded-3000-eco-system.htmlをご覧ください。
Intel Atom® x6000Eシリーズプロセッサ搭載のボードおよびモジュール
もう1つのハイライトは、最新の低消費電力型Intel Atomプロセッサ(コードネーム:Elkhart Lake)をベースにしたコンガテックの新しいプラットフォームです。Intel Atom x6000Eシリーズは、SMARC、Qseven、COM Express Compact、COM Express Mini、Pico-ITXシングル・ボード・コンピュータ(SBC)向けにそれぞれプロセッサが用意され、低消費電力の10nmテクノロジーを基盤とするIntel® Celeron®およびPentium® N、Jシリーズプロセッサが、エッジに接続される新世代の組込みシステムの活用領域を大きく拡げます。コンガテックの新しいボードやモジュールは、最大で同時に3つのディスプレイ上に4Kp60で表示できるなど、グラフィック性能を2倍に強化したほか、最大4コアの前世代製品と比較して、マルチスレッドのコンピューティング性能を50%以上向上させます。さらに、Time Sensitive Networking(TSN)、Intel® Time Coordinated Computing(Intel® TCC)、Real-Time Systems社(RTS)のハイパーバイザのサポート、そしてBIOSの設定可能なECC、-40°C~+85°Cの拡張温度範囲対応などにより、特にリアルタイム処理が要求される産業市場向け製品開発に多くの優位性をもたらします。SMARC、Qseven、COM Express Compact、Mini Computer-on-Modules、Pico-ITX SBC向け製品の詳細は、コンガテックのウェブページ www.congatec.com/Intel-Atom-x6000E に掲載された各製品のデータシートでご確認いただけます。
ワークロード統合のためのIntel®認定RFPキット
エッジに強力なコンピューティングパワーを搭載した後、当然、次のステップとして統合が必要になります。そのために、コンガテックは初めて、Intel®認定のワークロード統合キット「Intel IoT RFP(Ready For Production)キット」の提供を開始しました。IntelおよびReal-Time Systemsとの協力によって設計した新しい認定キットは、協調ロボットや自動制御、自律走行車など、ディープラーニングベースのAIアルゴリズムを利用した周辺状況認識を始めとする複数のタスクを並行処理する必要がある視覚ベース次世代アプリケーションの開発を対象にしています。ソリューションに対応したこのプラットフォームは、Intel® Xeon® E2 プロセッサ搭載のCOM Express Type 6モジュールをベースとして、視覚アプリケーションのワークロードを統合できるよう、事前設定済みの3つの仮想マシン(VM)を搭載し、同一システム上で別のアプリケーションが再起動されても、リアルタイムアプリケーションが仮想マシン上で動作できるようになっています。ワークロード統合のためのIntel認定RFPキットの詳細については、https://www.congatec.com/jp/congatec/press-releases/article/congatec-presents-intelr-iot-rfp-kit-for-workload-consolidation-in-vision-based-situational-awarenes/ をご覧ください。
Basler社との協力によるビジョンおよびAIキット
多くの組込みシステムでは、さまざまな周辺状況認識の為に組込みビジョンが必要とされています。コンガテックではBasler社組込みビジョンエキスパートと共にIntelのAI向けOpenVINO™キットにも対応しております。
今回のもう1つのハイライトとして、AIを専門とする日本企業であるHACARUSのスパースモデリングのデモンストレーションを行います。スパースモデリングは、トレーニングデータをほとんど必要とせずに精度の高い推論が行えるため、製造品質が高いと棄却率がおのずと低下するビジョンベースの検査システムにとって、特にメリットがあります。スパースモデリングであれば50枚足らずの画像から始められる新しい検査モデルを構築でき、1,000枚以上の画像を必要としていた従来のAIに比べて大幅に枚数を減らすことができます。スパースモデリングの詳細については、https://www.congatec.com/jp/congatec/congatec-papers/congatec-whitepapers.html をご覧ください。
QsevenベースのLECIPの車載用サイネージシステム
LECIPの車載用サイネージシステムでは、デュアルコアのIntel Atom® x5-E3930プロセッサを搭載したQsevenモジュールを組込んでいます。高い耐久性が要求される車載アプリケーションは、世界的に大きな需要があります。耐衝撃性と耐振性を備えた拡張温度範囲対応のLECIPのシステムは、日本国内の自動運賃収受システム市場の60%以上を占めており、バス事業者から高い評価を得ています。紹介されているLECIPのシステムにはQsevenモジュールのconga-QA5/i-E3930が組み込まれており、大きな成果をあげています。アジアや北米向けの運賃収受システムや車内表示装置も提供しているLECIPは事業を全世界に拡大しており、同社のように積極的なグローバル展開を図っているOEMメーカーにとって、世界のあらゆる地域や主要市場に拠点を持つコンガテックのようなグローバルな組込みコンピュータベンダーの必要性は明らかです。詳細については、http://www.lecip.com/product/product02-000.htm をご覧ください。
コンガテックのモジュールを組み込んだ介護予防支援ロボット「PALRO」
富士ソフトの介護予防支援ロボットPALROは、日本がヒューマノイドロボットの分野でも強みがあることを反映しています。「Japan IT Week 秋」のブース#39-18で最後を締めくくるのが、コンガテックのQsevenモジュールを搭載したこのロボットの展示です。老人医療や予防医療の分野で、高齢者のための会話のパートナーとなることを想定して設計されたこのロボットは、これまでに言及したあらゆるテクノロジーがいかに強く求められているかを示す最適な事例です。詳細については、https://palro.jp/をご覧ください。